【氷を思わせるガラス器】氷塊(ひだまり)/コラムvol.21

『氷塊』

読み方は『ひだまり』。

何故いかにも氷のように見えるこの器に、“日が当たる暖かな場所”を意味する「日溜り」という読みを当てたのか。
それはこの器の持つ魅力に関わりがあります。

この器の魅力は何と言っても、その透明度。

一見すると空洞のような肉厚の部分はさながら時間が止まったかのように静かな緊張感を湛えます。例えるなら、凪いだ湖面の一瞬をスッと切り取ってきたかのよう。

一般的に「ガラス=冷たい」という印象を持たれることが多い背景には、ガラスという素材が持つ危うさや儚さが生む独特な緊張感のような心理的な要素も大いに関係しているように思います。

触れたら壊れてしまうのではないか、消え入ってしまうのではないか。そんな深層的に不安にさせるような、不可侵で神秘的な存在であるからこそ、むしろ人々は惹かれるのだと思います。

これは氷も同じ。溶けて無くなってしまうことが分かっているからこそ、その独特な存在感に惹かれるのでしょう。

でも、このように感じるのは、この器がそのような域まで質感を突き詰めたがゆえ。

また高い透明度は、周囲の環境光を受け止めて美しく昇華するという効果をもたらします。

透過素材であるガラスは周囲から得られる光によって、その見せ方を変えます。

明るい環境なら「光を通す」ことで、暗い環境なら「光を反射する」ことで、違う表情を作り出すわけです。

そんな、光を美しく演出する器だからこそ、「氷塊」という字に「日(光)が溜まる=日溜り」という読みを当てました。

氷という字が入ったネーミング案はいくつもありましたが、この名前だけは表面上の雰囲気ではなく、器の本質を捉えたネーミング。思い入れの強い品名の一つではあります。

最初に「いかにも氷のように〜」と書きましたが、実はこの器は初めから氷をイメージして作ったわけではなく、ガラス素材の魅力の一つである「透明度」を最も感じられるよう考え抜いた上で、結果的に氷のような厚みのある造形に辿り着いたという真逆のプロセスから生まれた器です。

ものづくりの着想にも様々な切り口がありますが、これは物性のサイドから突き詰めた、ということ。

逆にこんな物を作りたい、こんなメッセージを伝えたいという、いわばゴールから逆算して形や素材を見出していく場合もあります。

この辺りは料理の世界にも共通した部分があるかもしれませんね。

今回ご紹介したのは「アイスランプ」という商品。ランプといっても、灯り(Lamp)ではなく、塊(Lump)。

この他、涙滴のような形の「アイスコーン」というタイプもございます。

 

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